レアメタル・アースは地球上の資源におけるレアメタルの状況をまとめています。

レアメタルと地球環境

レアメタルと大気汚染

アンチモンやビスマス、インジウムなどのレアメタルは、多くの製造業において必要不可欠な素材であることから、近年その工業使用量は増大の一途をたどっています。しかしながら、これらのレアメタルの中にはアンチモンに代表されるように、人体への悪影響が懸念されるものも多くあるのが事実です。

産業活動の活発化にともなって、大気中に排出されるレアメタルの量が増加することが予想されています。その中には、私たちにとって有害であるものも含まれているのです。様々な要因によって大気中に排出されたレアメタルは、降水などの大気降下物として、公共用地に付加されます。こうして付加された有害金属は、土壌中の粘土鉱物や有機物と結合することによって、土壌表層部に蓄積します。

このような大気降下物を由来とする、レアメタルによる土壌汚染が起こり、健康被害が引き起こされる可能性が心配されています。レアメタルはハイテク産業の進展により、その需要も使用量も使用される分野も増加しています。しかしながらこうした問題に対しては、研究も対策もほとんど進んでいないのが現状です。深刻な問題へと発展する前に、対策が望まれます。

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レアメタルと紛争、自然破壊

レアメタルをめぐる問題として忘れてはならないものの一つに紛争問題があります。地下資源をめぐる世界の動きは激しいものです。世界で起きている紛争の多くは、地下資源をめぐるものといっても過言ではありません。長きにわたり続いている中東での紛争は石油をめぐるものですが、新しい紛争の原因と考えられているのがレアメタルなのです。

実際、今世界ではレアメタルをめぐってさまざまな紛争や自然破壊が行われています。コンゴ共和国(旧ザイール共和国)では、レアメタルの一つであるタンタルで資金を得た軍と国との内戦が長引いています。イメージしにくいかもしれませんが、私たちの便利で豊かな生活が、北極のシロクマやコンゴのマウンテンゴリラを襲っている危機に結局はつながっているのです。

携帯電話やパソコンなどの電子機器がもたらす便利な生活が、世界規模でどういった問題を生み出しているのか、各国の政府や企業、メーカーなどだけではなく、私たちユーザーも意識しなければいけない段階にきているといえるでしょう。そのためにも、まずは現状で何が起きているのか、地球規模での視点を持ちながら知ることが重要です。便利な生活のすべてを捨て去ることができない以上、せめて資源をリサイクルして再利用することに積極的に取り組むべきです。


環境破壊とレアメタル資源有効活用

地球規模での環境破壊の現状は、地球上の人間の営みに必ずつながりを持っています。異常気象や自然破壊、海水面の上昇、大気汚染。枚挙のいとまがありません。化学的論拠のあるなしはそれぞれですが、昨今の異常気象と地球環境の悪化が無関係であると考えることは難しいと言えます。資源問題を考える場合にも、こうした環境問題を抜きにして語ることはできません。今まで私たちは、地球上の資源を当然の如く使い続けてきました。

しかし、はたしてこのまま使い続けてもいいのでしょうか。レアメタルをはじめとする資源の探鉱・開発は、それ自体、地球環境を破壊するものにほかなりません。鉱山を切り開くだけではなく、資源の抽出・製錬のために、現地での水質汚濁や土壌汚染といった公害おも引き起こしている事実があります。

取り返しのつかない状況を迎える前に、各国が力を合わせなければなりません。そのためにも、大切な資源をより有効に活用する方法を考え、実行していかなければならないのです。極端な話、地球環境にこれ以上深刻な打撃を与えないためには、製品中に用いられている資源は100%リサイクルされるという完全な循環型システムを構築することを急がなければなりません。

レアメタルと環境破壊

森村桂の小説のタイトル「天国に一番近い島」で有名になった太平洋上の島ニューカレドニアは、豊富な資源があることでも知られています。1860年代にニッケル鉱石が発見され、現在でも世界のニッケル年間産出量の約1割をニューカレドニア産が占めています。実際、日本のニッケル鉱石の年間輸入量約400万トンのうちの5割がニューカレドニア産となっています。

原鉱石500万トンから約6万トンのニッケルが精製されます。問題となるのが、廃棄物として残る土石や水が、深刻な環境破壊を生み出しているのです。背景には、ニッケルの価格高騰があります。金などの貴金属、アルミニウムや銅や亜鉛なおdのベースメタルなどと比べても急激な値上がりを見せているのです。

偏在性から起こる問題を回避するためにも、新たな資源元を確保することは産業の繁栄を考えた場合にはもちろん重要です。しかし、環境破壊をともなう採掘に対して、同時に、環境保護のコストを引き受けること、最小限の環境破壊にとどめることにも取り組まなければなりません。

廃家電と海外流出

新興国の急激な経済成長と、世界的な資源価格の高騰を背景として、大量の廃家電やパソコンなどが日本から中国や東南アジアに流れています。国内の中古パソコン買取業者や廃品回収業者から輸出業者にわたったこうした廃家電が、実は現地で深刻な環境汚染を引き起こしています。

廃家電などから資源を回収するための過程の中で、例えば、電気基盤の鉛はんだを熱で溶解し、ICチップを取り出す作業や、基盤を強酸の溶液につけて対象となる金属を分離するといった作業が行われていますが、その際に生じる鉛や強酸を含んだ廃液が垂れ流され、深刻な土壌汚染を招いているのです。廃家電は、それ自体は産業廃棄物や有害物質の類ではないために、規制の網をかいくぐって、こうした現象が起きてしまっているのです。

廃家電の海外流出は、貴重な資源が国内から失われているということでもあります。こうした電子電気廃棄物(e-waste)への対策が今後さらに推進されなければなりません。リユース、中古パソコンが流通すること自体は問題となるものではありません。まだまだ使える製品を長く使うことは大切なことです。しかし、中古パソコン業者に回収されたパソコンのその後はわからないのです。

レアメタルと環境問題

中国や台湾をはじめとする東アジアや、タイ、マレーシアなどの東南アジアには、日本の電子機器メーカーや半導体メーカーが多数進出しています。こうした日系企業の排出する基盤くずなどのスクラップの多くが中国に流れ込み、同様に環境汚染の原因となっています。

日系企業の進出先である現地では「情報が不足している」「適正な再資源化事業者がいない」「委託後の把握ができない」「リサイクルコストが高い」といったさまざまな問題を抱えていることから、ずさんな廃棄物処理とリサイクルの実態があります。

たとえば、中国では輸入した基盤類をドラム缶で野焼きし、精錬しているといったケースもあります。溶け出した鉛が土壌に垂れ流されたり、付近の河川を汚染しているのです。こうして引き起こされた土壌汚染や水質汚濁などの問題は非常に深刻な状況となっています。日本の電子機器メーカーは、国内工場の廃棄物処理や再資源化の過程については管理しながらも、東南アジアの工場の場合には管理不十分となっている実態があるのです。

レアメタルと環境調和型資源循環技術

地球全体の環境問題の解決に向けて、環境調和型資源循環技術の研究開発は大変重要です。
環境破壊を最小限にし、資源は回収・再利用することで循環させなければなりません。また、その回収・再利用にあたっても環境を汚染しないよう、環境調和型の技術であることが必要なのです。

環境問題を解決するための新技術の開発は世界各国で行われており、私たちの国でも盛んに研究が進められています。その新技術のためにも、レアメタルは欠かせない要素なのです。温室効果ガス排出削減のためのハイブリッドカーでは、蓄電池にニッケルが、モーター部分にジスプロシウムが使われていますが、どちらもレアメタルの一種です。電気自動車の蓄電池にはリチウムが、次世代太陽電池にはインジウムが使われています。白金やパラジウムなどの白金族は、エネルギー分野で重要な役割を担っている元素です。特に、自動車の排ガス処理触媒としての用途が多く、実に世界生産量の半分近くが使われています。


最近、クリーンエネルギーとして水素に注目が集まっていますが、その製造や利用のためにも白金族が必要です。水素の多くが天然ガスなどからの化学反応で製造されていますが、その過程にも白金族が必要なのです。水素と酸素から効率よく発電する燃料電池の触媒にも白金族が用いられます。

しかしながら、白金族を採掘するには、1gの生産に1tもの岩石を採掘しなければなりません。その結果として、採掘に伴って自然環境を破壊します。不要な岩石類を廃棄することによっても環境を破壊します。さらに、その採掘には莫大なエネルギーが必要です。環境・エネルギー分野で重要な役割を担う白金族は、その生産過程では逆に環境・エネルギー問題を引き起こしているという矛盾が生じてしまっているのです。



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