レアメタル・アースは地球上の資源におけるレアメタルの状況をまとめています。

レアメタル資源回収・リサイクル

レアメタルとゼロ・エミッション(2)

ゼロエミッションとは、一般的には廃棄物を出さないようにして資源を循環させようとする考え方のことですが、企業などで使用されている用語としてのゼロ・エミッションとは、「企業が生産活動を行った際に出る廃棄物について、リサイクルなどを積極的に行うことで最終処分量をゼロにする」という意味で、だいぶ狭義で使われています。

ゼロ・エミッションの定義は、法律などで明確に決まっているものがあるわけではありません。それぞれの工場や事業所、メーカーなどが独自にゼロ・エミッションの定義を決定し、それに基づいて運用しているのが現状です。ゼロ・エミッションで重要なのは、以前からよく言われる「3R」(Reduce, Reuse, Recycle)の考え方です。

まず、できるだけ廃棄物を出さないようにすること、そして出てしまった廃棄物は使い道がないか検討すること、そしてもう一度再利用すること。この「3R」を確実に実行することが企業努力として求められており、環境ISOの認証取得の普及に伴って、ゼロ・エミッションに積極的に取り組む企業の数も増えてきています。

レアメタル関連企業も例外ではありません。このゼロ・エミッションの考え方に基づいて、レアメタル資源の循環活用が可能な産業システムを構築することが、今後の課題となってくるでしょう。


生物の力を活用したレアメタル研究

最近では、生物の力をレアメタルの回収に利用するという研究も進められています。また酵母菌の表面にレアメタルを特異的に吸着させるタンパク質を多数作り出す研究も行われています。さらにある細菌は、パラジウムを体内に取り込むだけでなく、触媒として使う際に最適となるナノレベルサイズのパラジウム粒子を作り出してくれることも研究の結果、解明されてきました。

シネワラ・アルゲは、体内にパラジウムを取り込む能力を持っている細菌です。ナノサイズの粒子に加工して体内に取り込むため、そのものが有効な触媒になりうることがわかりました。 バナジウムというレアメタルを体の中に取り込む能力を持っているその名もバナジウムボヤは、バナジウムを溜め込むための「バナジウム濃縮細胞」を血液の中に持っていることが解明されました。細胞の中のバナジウム濃度は、海水の1000万倍にもなります。

どこにでもいるある微生物(カビの一種)はレアメタルのひとつであるマンガンを体内に取り込み、付着し酸化させ、酸化物に変えて細胞の表面に析出することがわかりました。そしてこの微生物が作った酸化マンガンはニッケル、コバルト、タングステン、バナジウムなどの他のレアメタルを効率よく吸着するということがわかりました。このように不思議な生物の力を活かした研究もあります。


レアメタルのリサイクルをめぐる問題点(1)

リサイクルが事業として成り立つためには、ある一定の量のリサイクル原料が安定して回収できることが前提となります。もし量が集まらなければ、技術的に回収可能であってもリサイクルが進まないからです。そのため、回収ルートの整備と、安定した回収量の確保がまず大前提となります。

しかし、一方で使用済みパソコンを買い取ってくれる業者や、無料で廃家電を回収する廃品回収業者もいます。そのように使用済みのパソコンを有価で買い取ってくれたり、無料で引き受けてくれる業者がいる以上、メーカー側のリサイクル回収率は上がりません。メーカーだけにリサイクルの責任を負わせるには限界があるのです。

使用済みの電気・電子製品では、含有されているレアメタルの種類や使用量が明らかでないことが多いことも、レアメタルのリサイクルを難しくしています。特定の金属だけを回収する工程を作るには、種類や量の特定が欠かせません。しかし実際には、メーカーは多数の部品をそれぞれ別の業者に作らせるため、メーカーでさえも正確に把握していないことが多いのです。

原料の需給バランスを安定させ、生産コストやリサイクルコストを削減するためにも、製品中のレアメタルをはじめとする含有資源情報の提供も含め、リサイクルを前提としたものづくり、リサイクルと製造を一体化したシステムの構築が必要です。

レアメタルのリサイクルをめぐる問題点(2)

最近では、製造コスト低減と資源の有効的活用の一環として、個別の製品に使われる資源の量が減っています。製品中のレアメタルの含有量がより少量となり、これがリサイクルコストのさらなる増大につながっていることから、採算性に問題を生み出しているのです。今後は、個別の商品における省資源使用技術も念頭に置きながら、こうしたた状況も踏まえて、リサイクル技術を向上させること、さらにはリサイクルコストの低減を図ることが求められています。

レアメタルをとりまく環境を考えると、今度レアメタルの価格が下降することは考えにくく、安価なレアメタルは入手困難と考えた方が良いでしょう。価格上昇を抑え、資源の安定供給を図るためにも、リサイクルのシステム構築は必要です。

そのためにも国家の資源戦略のためにも発想の転換が必要です。リサイクルが浸透すれば、製品も再利用しやすいように設計するなど循環の仕組みができるはず、都市鉱山が利用できれば採掘に伴う環境負荷も減り地球環境にとってプラスになるとして、多くの人が今後のリサイクルの発展について期待を寄せています。

一方で、回収技術にはまだ高い壁があります。資源エネルギー庁によると、既存の製錬工場の工程では、製品から取り出せるのは金、銀、銅、プラチナなどで、ほとんどのレアメタルはまだ技術が確立されていないそうです。環境負荷の少ない製錬工程の研究を進めているが、実用化は先になる見込みです。できるだけ早い時期に実用化され、レアメタルの再利用が定着していくことが望まれます。


レアメタルのリサイクルへの取り組み:大館市の家電リサイクル事業

昭和30年代から50年代に、日本の代表的な非鉄金属精錬企業が拠点を置いていた大館市では、2006年12月から、レアメタルの回収・資源ストックについての試験事業が行われています。大館市では、市内のスーパーなどに使用済みの小型電子・電気機器の回収ボックスを設けて、そうした製品の最終ユーザーである市民に協力を求めました。

携帯電話や電源ケーブル、MDプレーヤー、ゲーム機、デジタルカメラ、デオカメラなど。回収開始から3か月で、回収ボックスには約1tもの電子電気機器が集まりました。この回収実験をもとにして、大館市は東北大学との連携の下で、レアメタルの資源循環構想を推進していくとしています。

大館市の場合には、鉱山関連基盤を活かした家電リサイクル事業などが進められていたという土壌がありました。もともと、市民の環境意識が高いこともあり、協力が得られやすいという利点もあると考えられています。やはり、私たちひとりひとりが意識を高く持つことが重要となってきているのです。




レアメタルと都市鉱山

今まで私たちの国は海外からレアメタルなどの金属資源を輸入し、消費してきました。そうして消費した資源は、製品などの形で国内に蓄積されていると考えることができることから「都市鉱山」という言葉が脚光を浴びるようになってきました。都市鉱山とは、ゴミとして大量に廃棄される家電製品などの中に存在する有用な資源(レアメタルなど)を鉱山に見立て、そこから資源を再生・有効活用しようというリサイクルの概念です。英語ではurban mining(アーバンマイン) と言われています。

実際、専門機関の試算によると、日本の都市鉱山蓄積量は6鉱種で世界の埋蔵量に対する比率が1割を超えるほどの大きな数字であるといわれており、国内にあるリサイクル原料は豊富であると考えることができます。

しかし、どんなに豊富な資源が都市鉱山に眠っているとしても、それらを回収して再資源化することができなければ意味がありません。実際、都市鉱山からの金属回収は、既に一部の民間企業で実施されています。例えば、天然の金鉱石1トンに金5グラム程度が含有されているのに対し、1トン分の携帯電話には400グラムの金が含まれていることから、携帯電話などの電子機器からの金、銀、銅などの貴金属回収が進められています。

一方、レアメタルは技術的、経済的な観点から、ほとんどが未回収のままになっているのが現状で、今後の動向に注目が集まっています。


携帯電話リサイクル:経産省の取り組み

携帯電話は、1製品当たりのレアメタルの使用量が大きいことから、貴重な資源であると考えることができます。1台の携帯端末の中には、貴金属やレアメタルなどのいろいろな金属資源が含まれており、主要部分のあちこちに使われています。

たとえば、LEDにはガリウム、コンデンサーにはタンタルやチタン、バッテリーにはリチウム、液晶部分にはインジウム、マイク・スピーカーにはネウジウムやサマリウム、などのレアメタルが原料として使われています。

携帯電話とPHSについては2001年、社団法人電気通信事業者協会(TCA)と情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)が連携し、「モバイル・リサイクル・ネットワーク」を設立。同ネットワークで、製造メーカーにかかわらず、使用済み携帯電話の本体や電池、充電器の回収を行うなど、業界先行で再資源化に取り組んでいます。経産省では、回収率向上のため、同ネットワークと協力しながら、消費者にリサイクルへの意識啓発を求めるための対応を検討中で、「携帯電話のリサイクルをレアメタル回収の第一歩としたい」(産業技術環境局)と話しています。


レアメタルの安定供給と携帯電話リサイクル

レアメタルを含む非鉄金属を安定して確保することは、資源の乏しい日本の産業によって重要な課題となっています。しかも近年、国際価格の高騰や資源獲得競争が激化していることから、その安定確保・安定供給には問題が生じています。

資源エネルギー庁に設置された「資源戦略研究会」では、平成18年に「非鉄金属資源の安定供給確保に向けた戦略」を発表し、使用済み製品に含まれているレアメタルの回収・再利用の推進が提言されています。その中でも、普及台数が多い携帯電話には、リチウム、希土類、インジウム、金、銀などが含まれており、使用済み携帯電話の機種回収・適切な処理が求められています。

しかしながら、使用ずみ携帯電話の回収率は低迷しています。その理由として、携帯電話が様々なデータツールを兼ねるようになったことが挙げられます。

買い替えなどで不要となった携帯電話の回収率を上げるため、ユーザーへのリサイクルについての情報提供や、携帯電話のリサイクル活動を行うMRN(モバイル・リサイクル・ネットワーク)の認知度の向上、ACアダプターなど充電器の標準化による省資源化などが取り上げられています。レアメタルなどの有益な資源の循環利用のための社会システム構築が急がれます。


携帯電話リサイクルが進まない現状

携帯電話を買い替える時に、古い携帯電話の本体はどうしていますか。ある調査結果によれば、携帯電話の買い替え時に古い端末をどのようにしたかを尋ねたところ、「自宅に置いている」という回答が6割以上で最多だったそうです。

携帯電話の回収は依然として進んでいないという現状があります。その理由として、携帯電話本体の製品寿命が延びたことのほかに、ユーザーが個人情報が入っていることがまず第一にあげられます。個人情報の漏洩が問題になることの多い現在社会ですから、悪意の誰かによって回収された携帯電話から情報が盗まれることを懸念するわけです。

情報ツールとしての携帯電話の進化はすさまじく、今では単なる電話やメールといった本来の機能だけではなく、カメラや音楽プレーヤー、ワンセグテレビなど、さまざまなツールが1台の携帯電話の中に組み込まれるようになりました。音楽や画像、動画などのデータファイルがいろいろと残っているので、電話としては使わなくても、何かの時には使うかもしれないという思いから、手元に残しておくケースが多いからだそうです。子供がいる家庭では、「子供のおもちゃ用に」ととっておくケースも多いそうです。


携帯電話リサイクル:ユーザー意識の向上

新しい機種に乗り換えて電話本来の機能としては使わなくなっても、カメラ機能で撮った画像データを保存しておきたい、ファイルを転送するのが面倒、音楽を聴くために、あるいはゲームをするために使い続けたいなどの、ユーザー側の事情が、携帯電話の回収数が増加しないことの背景にあります。
しかし、「使うかもしれない」という思いとは裏腹に、実際には使われずに家の中にしまっておかれるだけのケースが多いのも事実です。結果として、貴重な資源が家庭に眠ったままとなっているのです。

一時の気持ちで新しい商品に次々と乗り換えずに、1つの商品を安易に廃棄せずに大切に使い続けることは大事なことですが、使い終わったもの、使えなくなったもの、不要になったものはリサイクルに回して、再資源化するという意識をユーザーの側も持つことが重要です。

ユーザーの意識を向上させるためにも、回収する側であるメーカーや企業などは、ユーザーへの啓蒙活動を推進するとともに、イベント会場などに回収ボックスや回収ブースを設けるなどの活動を通じて、ユーザーが不要になった携帯電話を気軽に回収に出すことができる機会を増やしていくことが必要でしょう。



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