レアメタル・アースは地球上の資源におけるレアメタルの状況をまとめています。

レアメタル資源回収・リサイクル

レアメタルとエネルギー問題

使用済みの製品からリサイクルでレアメタルを回収し再資源化することは、資源の確保の面だけではなくエネルギー問題の上でも重要となっています。なぜならば、鉱石の中に含まれるレアメタル元素は微量であり、ある種のレアメタルを生成するためには、膨大な量の鉱石が必要となり、膨大な量の鉱石を発掘し、そこから特定のレアメタルを精製するまでには、実に甚大なエネルギーを消費しなければならないからです。リサイクルに比べて、自然の鉱山から産出する方法は、地球環境に大きな負荷を与えてしまいます。

地殻から資源を掘り出して大きなエネルギーを使って精錬することなく、省エネルギー・省資源を図ってリサイクルを勧めていくことは、環境保護の観点からも重要なのです。

そもそも金属は何度でもリサイクルして使うことができる資源です。使い終わったものを回収し、再利用する仕組み作りさえできれば、資源の安定供給の問題の解決策になる可能性が十分あります。これまでも日本は省エネルギー・省資源の分野の研究開発を得意としてきました。同様に、レアメタルに関してもより有効に資源を活用する方法を探ることが必要となっているといえるでしょう。

環境に配慮した経営戦略のポイント

資源のリサイクルは各企業にとっても大きな活動要素となってきました。環境に配慮した企業活動はもちろんのこと、時代のニーズに即した経営戦略として採用する企業もここにきて増えてきています。「エコ」を前面に出すか、出さないかは別としても、環境に配慮した経営活動は、現代社会では当然のものとなってきていると考えていいでしょう。

こうした傾向は何も大企業だけのものではなく、小規模の企業であっても同様に取り組むべきもであると言えます。環境に配慮した経営戦略とはどのようなものか。以下に、大きく4つのポイントを挙げてみます。

 1)内部への流れ
  エネルギーと材料の投入、使用が生態的に健全かどうかをチェックする
 2)加工および製造
  エコ的であるかどうかの基準から製品デザインのチェックと製造過程におけるリサイクルの促進
 3)外への流れ
  広告や販売促進等の手法と流通システムの点検および廃棄物と排出物の減量化
 4)流れを支える構造
  従業員、利益、投資、設備などの新陳代謝のフローのあらゆる面の基礎となる企業の生息環境を
  健全なシステムとして流れているかをチェック。


レアメタルのリサイクルコストと採算性

レアメタルのリサイクルは一部を除きあまり進んでいないのが現状です。使用済みの製品を回収し、リサイクル資源と廃棄物に分離し、リサイクル資源を再び製品製造に使用するというリサイクルのシステム リサイクルが進まない原因の1つが、リサイクルコストが高いことです。そのため、採算性の問題から、リサイクルするよりもスクラップとして廃棄処分するか、もしくは海外へ輸出してしまうかの二者択一となっていることがあげられます。

レアメタルは貴重な金属資源ですが、最終製品には少量しか使われていません。回収コストに見合う採算性が確保できなければ、企業としてはリサイクルに本腰を入れることはないでしょう。レアメタルのリサイクルがビジネスとして成り立つかどうかが問題となっているのです。

たとえば、バッテリーを外した携帯電話1台(約80グラム)の価値は、レアメタル以外の金属も含めて100円程度となっています。ビジネスとして確立できるようなレアメタルの資源リサイクルの仕組みを今後どのように組み立てていくか。問題解決のために超えなければいけない壁はまだまだ沢山あるのです。


レアメタルのリサイクル技術の問題点

プラチナやパラジウムやインジウム等の高価なレアメタルのリサイクルは進んでいるものの、多くのレアメタルは「添加物として使用されており、抽出が困難である」「経済的でなく、採算性が確保できない」等の理由から、ほとんどリサイクルが行われていないのが現状です。

レアメタルの場合には、製品に含まれているのが少量多種の原材料であるため、製品から分離・精製する過程をできるだけ効率よく行うことためには、非常に高度な技術が必要です。すでに欧米などではスクラップからレアメタルを回収する高度な技術を有しているとされており、現在日本でも、この分野の研究が進められています。

また、分離・精錬の過程の効率化のためには、メーカー側がリサイクルを前提としたモノづくりを行うことや、製品の仕様書を開示することも必要です。しかしながら、メーカー同士の競争という観点からメーカー側はこうした情報を機密情報としていることも多いため、なかなか難しいというのが現状です。


レアメタルのリサイクル市場の拡大

鉄鋼関連でのリサイクルの場合、レアメタルは添加剤として使用されていることから、レアメタルを抽出し原材料として回収しているのではなく、鉄鋼自体を再溶解し、鉄鋼原料としてリサイクルしています。  レアメタル単体を抽出しリサイクルしているものは、液晶パネル(ITO)からインジウム,リチウムイオン電池からコバルト,触媒からプラチナ,パラジウム,モリブデン,バナジウム等があります。

今後、携帯電話,液晶パネル,パソコン,自動車(燃料電池車、ハイブリッド車、など)の需要拡大とともに、レアメタルのリサイクル市場が拡大すると見込まれています。 環境的要因からは、メッキ業界では、ニッケル,クロム,ホウ素等が排水中から回収され一部原料としてリサイクルされています。現在、要監視項目にニッケル,モリブデン,マンガン,アンチモンが上げられており、環境基準として規制される可能性が高く、特に廃水/廃液からのレアメタル回収/リサイクルの必要性に迫られています。

スクラップからレアメタルを回収して再利用するシステムを推し進めるためには、分解・分離が容易な構造や成分設計が求められます。あわせて、新たに処理が難しい産業廃棄物を発生させない技術も検討されなければなりません。

レアメタルの再生・再利用技術

液晶テレビのパネルに用いられるインジウムを見ると、実際にパネルに使用するのは約1割で、残りはパネル製造装置などに付着してしまいますが、この未使用部分を回収して精製、再利用することが一般的になってきました。品質面でも問題がないそうです。タングステンも、工具のスクラップなどから再生タングステンを作る取り組みが始まっています。

このように、最近ではスクラップも貴重な資源であると考えられるようになってきています。こうした流れの中で、レアメタルを含むスクラップは海外での需要も大きくなってきており、再生品、再生資源の争奪戦もすでに始まっています。

レアメタルの回収には、金属ごとのイオン化傾向の違いや、蒸発しやすさ、比重の違いなどの性質の違いをもとにして、温度条件を変えたり、溶媒にとかしたり、電解したりして分離します。選択的分離や分解の技術開発により、製錬技術や施設を活用した、リサイクル・廃棄物処理が資源の循環を進めるカギとなりそうです。センサーなどによる形状識別、X線などによる元素分析、画像処理技術などによる高品位部位の分別、などの高度な技術が必要となっています。


レアメタルの有効資源活用の方法

最近のレアメタル価格の高騰を背景に、ベースメタルと比較した場合に、レアメタルのリサイクル事業はその資源価格が高いことから、事業としては成り立ちやすい面を持っています。しかしながら、1製品あたりの含有量が少なく、多種多様な元素が入り乱れていることから、回収が難しいという側面も同時に持ち合わせています。

鉱物資源は、基本的に「何度も繰り返し使うことができる」という面でエネルギーとは異なります。レアメタルに関しても、それぞれの鉱物ごとの特徴に沿って、製造工程で生じる「工程くず」の発生抑制や再利用、さらには使用済み製品の回収を進めることが必要です。

製造過程で生じる「工程くず」は、大半が国内でリサイクルされていることが多い反面、国内外の処理コストの違いから、よりコストが低い海外へと輸出されてしまうケースも多くあります。同様に、使用済みの製品に関しても、コストの面で、廃棄処分か、もしくは海外輸出が選択されるケースが多くなっています。

現在はリサイクルが進んでいない、こうした国内「資源」についても今後は適切に国内でリサイクルの流れに乗せるために、国内のリサイクル能力の増強を図ることや、より経済的なリサイクルシステムの開発と整備が課題となっています。また、海外でリサクルされる場合にも、リサイクル後の再生資源を再び輸入するなど、より有効な資源活用の方法を模索することが望まれます。


政府のレアメタル資源確保・安定供給推進策の導入

政府は、価格が高騰を続けるレアメタルの資源確保と安定供給のため、携帯電話などの電子製品に使われるレアメタルの推進策を導入しました。携帯電話の販売店に顧客へのリサイクル情報の説明を義務付けるほか、製造企業には廃棄物削減が期待される環境会計の導入を促進します。

携帯電話には多種多様なレアメタルが使用されています。バラジウムやプラチナなどのレアメタルは、細かい加工が可能であることから、携帯電話の微細部品の材料に使われています。資源有効利用促進法改正案では、携帯電話の販売店に対して、1台の携帯電話に含まれるレアメタルの量や個人情報の流出防止策を購入者に説明することを義務付けるものです。これによって、ユーザーのリサイクルへの抵抗感を低減し、資源の有効活用への理解を求め、回収台数の増加を狙っています。

一方、製造企業には製造工程で廃棄されるいわゆる「工程くず」でのレアメタルの量を減らすため、環境会計のひとつである「マテリアルフローコスト会計」の導入を促します。無駄になっている資源の量を金額で明示するこのマテリアルフローコストによって、企業側に廃棄物削減を促すことが期待されています。


レアアースのリサイクル

ネオジムやジスプロシウムなどの希土類元素を使った希土類磁石は、すぐれた磁気特性からハードディスクドライブ(HDD)やハイブリッド自動車のモーター、MRI、音響機器など幅広く使用されています。希土類磁石の製造では、切屑や破損などの工程くずとして全体の2割~3割はスクラップとなっています。この工程くずはすでにリサイクルが行われています。

しかし製品となって出回っている希土類磁石のリサイクルはほとんど行われていません。HDDを例にとって見ると、HDD全体にしめる磁石の重量割合は2~3%程度です。希土類元素を効率よくリサイクルするためのプロセスの開発が必要となるのです。

現在は、技術的には可能なものもありながら、リサクルコストが高く、市場も小さいためにあまり目を向けられていないレアアースのリサイクルについても、今後は重要視されてくるものと思われます。将来的な視野を持ちながら、取り組んでいくことが必要でしょう。


レアメタルとゼロ・エミッション(1)

最近、注目されている言葉に「ゼロ・エミッション」という言葉があります。ゼロ・エミッション(zero emission)とは、国連大学が1994年に提唱した構想で、正式にはゼロエミッション研究構想(Zero Emissions Research Initiative = ZERI)といいます。

ゼロ・エミッションとは、自然界への排出ゼロのシステムを構築する、またはそれを構築するように目指すことを基本とした考え方です。実現するためにはさまざまな産業の連携が必要とされ、具体的には、ある産業の副産物や不要物(廃棄物)を別の産業において有効利用することにより、社会全体で資源を循環させる仕組みを作ることが必要です。

そのためには、生産・製造工程で環境を汚染することのないようにすることはもちろん、単に生産段階での排出を減らすだけでなく、消費や廃棄の段階での影響にも配慮して原材料や生産工程を見直すことが求められます。

一部の企業などでは、廃棄物を削減することや、廃棄物を全てリサイクルすること、最終的に埋め立て処分となる廃棄物を排出しないことなどが「ゼロ・エミッション」とされていることもあります。このゼロ・エミッションが、レアメタルに関しても話題にされるようになってきました。



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