レアメタル資源回収・リサイクル
レアメタルとソニー(1)
一方ソニーはグループ全体の環境方針として「ソニーグループ環境ビジョン」を打ち出し、持続可能な社会の実現に向けて環境負荷を低減するための活動を展開しています。そこで両者が手を取り合い、新しい試みを始めることとなったわけです。
レアメタルの確保は重要な課題となりながらも、小型廃家電のリサイクル事業はあまり進んでいないのが実情となっているだけに、こうして、自治体や行政と民間企業とが連携して貴重な資源の再利用を推し進めることは、今後ますます重要な活動となっていくでしょう。官民連携によるリサイクルネットワークの事業化としては全国初の試みとなります。
レアメタルとソニー(2)
この一連の流れの中で、北九州エコタウンで非鉄金属のリサイクルを行っている日本磁力選鉱株式会社がパートナーとなっています。対象となる小型電子機器は、ソニー製のものに限らず、全メーカーの小型電子機器となっています。実際の回収方法は、北九州市内のホームセンターや、スーパーマーケット、北九州私立大学、小学校など計60か所に回収ボックスを設置し、回収するとしています。
回収された小型廃家電は日本磁力選鉱が金属回収までを行い、回収したレアメタルなどの金属は、ソニーがソニー製品の材料として再利用するとしています。2008年9月から来春3月末まで実証実験を行い、その結果採算性が確認できれば、来年度からは事業化に発展する予定となっています。
レアメタルとソニー(3)
この取り組みで無償回収の対象となるのは、ソニー製のテレビ、パソコン、ビデオカメラ、携帯型音楽プレーヤー、携帯電話、ゲーム機など、家庭用製品すべてで、過去に販売されたものもすべて対象となっています。
回収と再利用にかかる費用はすべてソニーが負担するため、その費用負担はかなり多額になるものと思われますが、回収した使用済み製品からレアメタルなどの資源を取り出して再利用することで、その費用に充てることなどでまかなうものとしています。
レアメタルの価格安定化に向けた取り組み
中でも、リサイクルの推進は、レアメタルの価格を安定させるのに有用です。それと同時に、新たな鉱山開発などによる環境破壊を抑えるといった地球環境保護の側面も持ち合わせています。実際、どれだけ新たな開発を進めたとしても、地球の地殻から掘り出される資源の量は無限ではなく、限りがあります。現時点で今後数十年の間にはレアメタルの需要が現在の確認埋蔵量の数倍を超えると予想されています。
資源リスクを回避する方法は大きく分けて3つあります。それは「見つけること」「うまく使うこと」「代わりを探すこと」の3つです。 レアメタルのリサイクルは、この3つのうちの2番目の「うまく使うこと」に当たる取り組みです。
原材料のコスト高は各種製造業に大きな打撃を与えています。特にレアメタルは特殊性の強い金属資源であるだけに問題は深刻です。やむを得ず値上げに踏み切る業種も少なくありません。原料の安定供給確保はまさに急務と言えるでしょう。
小型電子家電のレアメタルリサイクル
現在、小型家電に含まれるレアメタルのリサイクルは、それぞれのメーカーなどが自主的に行っているのみであり、不十分な状態です。需要の拡大などから価格が高騰しているレアメタルは、携帯電話や携帯型音楽プレーヤーなどといった製品の電池や液晶画面、半導体などに使用されています。日本の産業を根幹をなす先端技術産業にとって必要不可欠な存在です。
しかし、法律で回収が義務付けられているパソコンやテレビなどと違い、現状では小型家電を回収する仕組みはありませんでした。そのため、不要となった小型電子家電リサイクルされずに、そのまま家庭に放置されていたり、そのままゴミとして捨てられてしまうとみられています。その結果として、製品の中に含まれている資源の再資源化が進んでいないのです。
レアメタルリサイクルに関する日本の役割
レアメタルを含む廃棄物や使用済み製品は、視点を変えれば重要な資源にほかなりません。廃棄物の中に含まれているレアメタルを効率よく回収し、再資源化を図る技術は、「現在の錬金術」などとも呼ばれています。
レアメタルのリサイクルは、貴重な資源を守り、地球環境に配慮した取り組みであるだけでなく、レアメタルを輸入に頼っている日本にとっては、資源セキュリティ上も重要な課題となっています。高度なリサイクル技術の開発と、循環利用のための社会システムの構築。資源を持たない国である日本は、レアメタルに関するリサイクルシステム構築の上でも高度な技術開発が求められているのです。
そして、資源をただ消費するだけではなく、そうした技術を国際社会に還元していくこともまた、世界の中の日本の役割であると言えるかもしれません。
mt:If name="pc">
レアメタルの安定確保に向けた対策
レアメタルは身近な製品の多くに使用されているということは、裏を返せば、さまざまな製品のリサイクルを徹底することで資源の再利用によって、レアメタルの確保が可能となるという可能性があるということでもあります。
レアメタルの原料を輸入に頼っているわが国では、こうした製品中のレアメタルを回収して取り出し、再利用していくことが注目されています。資源確保に向けて、経済産業省はレアメタルの安定確保に向けた対策を開始しました。その中長期的な施策は大きく分けて次の3つです。
1)重点的な海外炭鉱開発の実施と資源外交
2)工程くずの発生抑制・リサイクルの推進
3)代替材料開発
中でも、リサイクルの推進は現在非常に注目されており、政府主導での取り組みが始まっています。
レアメタルのリサイクルコスト
レアメタルのリサイクルは、工程くずのように製品化される前の段階で発生するものに関しては進んでいますが、製品化されたもののリサイクルはごく一部を除いてあまり進んでいません。回収された製品は、資源と廃棄物に分離され、リサイクル資源は再び製錬過程にのせられます。
しかし、現在リサイクルで抽出されるのは、溶解などで大量に抽出可能な鉄やアルミ、銅などのベースメタルに限られているのが現状です。レアメタルの多くはリサイクルされることなく、そのまま廃棄処分されてしまっているのです。
リサイクルが進まない原因の1つはコスト高です。そのため、業者はよりコストの低い方法である廃棄処分か、海外輸出を選んでしまうのです。回収された製品からレアメタル資源を回収するためには、まず、レアメタルの分離・抽出が必要となります。現在、選択的な粉砕技術や溶媒を使った分離方法についての研究開発が進められている段階です。
現在は、国内外のリサイクルコストに差があるため、国内のリサイクル原料が海外に流出しています。結果として、国内のリサイクル原料の安定確保に支障が生じ、リサイクル事業が進展しないという悪循環が生まれているのです。
レアメタルリサイクルに対する社会全体の意識改革
エコの問題として取り上げられることが多いリサイクルですが、重要な資源の確保のためにも推進しなければならないものとなっているのです。私たちの便利な生活を維持するためには、その生活を支えている製品になくてはならないレアメタル。その重要性をもっとメーカーや業者だけではなく、消費者も理解して、リサイクルに対する意識を高める必要があるでしょう。
例外的な例として、プラチナがあります。プラチナは高価な金属であるため、他のレアメタルと比べてリサイクルが比較的進んでいます。日本ではPGMという白金族のリサイクル専門企業もあります。リサイクル技術で取り出したレアメタルは通常価格より割高になります。企業はそれを受け入れても経営的には支障がないのか、消費者は値上げを受け入れられるのか、などの問題があります。都市鉱山の概念はリサイクルに通じます。その資源を活かすには、技術よりも社会全体の意識改革が大きな課題になりそうです。
また、インジウムもリサイクルが確立しているレアメタルのひとつです。インジウムの市場価格とコストを考えてもリサイクルで十分採算が取れるため、多くの企業が参入しています。レアメタルリサイクルの中で最もシェアが大きく、市場規模も100億円程度となっています。また、今後はリサイクル法の改正のもと液晶テレビなどの製品からのリサイクル事業も増加することも期待されています。
世界有数の資源保有国「日本」
「日本は世界有数の資源保有国」。独立行政法人の物質・材料研究機構(茨城県つくば市)の発表によると、部品や製品などに含まれる形で国内に蓄積されている各種金属は、資源国の確認埋蔵量に匹敵するほど豊富にあるそうです。
同機構によれば、国内の都市鉱山には貴金属の金が約6800トン、銀が約6万トン、レアメタルのインジウムは1700トン、タンタル約4400トンが埋蔵されているという計算になるそうです。この数字をもとに試算すると、世界の金の現有埋蔵量の16%、銀では22%、インジウムで61%、タルタンでは10%に相当することになります。同機構ではこの調査結果を踏まえ、「わが国の都市鉱山は世界有数の資源国に匹敵する規模」と指摘し、都市鉱山資源の有効活用を訴えています。
これらは大半が廃棄物などの形で都市部に蓄積され、活用されずに眠った状態であるため、「都市鉱山」とも呼ばれています。都市鉱山の一部は私たちの周りにもあります。たとえば、使用済みの家電製品や電子機器、携帯電話などがそれです。
最近盛んに行われているリサイクルについての研究や調査で明らかになったのは、私たち消費者に「家電が資源になる」という意識が低いという事実です。その結果、貴重な資源も単なるゴミとして処理されてしまっているのです。
