レアメタルの資源開発
レアメタルの資源探査事業
企業による資源開発への投資額は、その対象となる資源の市場価格によって大きく変動します。鉱山の開発投資は、開発初期の探鉱も含めて考えると10年もしくはそれ以上の期間が必要となる大規模のプロジェクトとなります。そのため、需要が増えたからと言って、短期的に増産を図ることは難しいと言えます。
現在、海外資源開発の活発化が進む中、資源探査を行う企業も増え、探査費用も全体として増大の一途をたどっています。しかしながら、諸外国の資源メジャーと言われる企業などと比べると、国内の資源産業は探鉱予算などの面で規模が小さく、取り組み強化が必要です。
多くの場合、レアメタルは銅・ニッケル・亜鉛・鉛などのベースメタル資源の副産物として生産されており、レアメタルを対象とした探査事業の数は少数です。しかし今後はレアメタルそのものの探査の機会をとらえていくことが必要となってくるでしょう。
そのため、今までは投資環境としての評価が低く、探査開発の対象地域となっていなかったアジア・アフリカなどや、開発リスクの高い地域についても事業展開の可能性を模索することが必要です。さらには、そうした国々の政府と友好的な協力関係を築くための資源外交的アプローチも求められています。
レアメタルと鉱山再開発
レアメタルの探鉱・開発は、レアメタルの特徴を踏まえて行われることになります。まず、偏在性です。中国(タングステン、レアアース、インジウムなど)、南アフリカ(プラチナ、クロム、マンガンなど)、ロシア(プラチナ、バナジウム、ニッケルなど)、チリ(モリブデンなど)のように、生産国が非常に偏っていることがレアメタルの特徴です。
さらに、レアメタルの種類によって、地球規模で考えた場合にまだ探査活動が行われていないが、埋蔵の可能性がある地域の存在が期待されるものと、新しい資源開発が期待できない種類のものがあることも考慮しなければなりません。
合わせて、レアメタルが主産物として生産されるものと、ベースメタルの副産物として生産されるものに分けられることも重要です。前者は、特定のレアメタルをターゲットとして探鉱・開発を行うのに対して、後者は、ベースメタル鉱山の権益確保を進めることが求められます。こうしたレアメタル独特の特徴に沿った探鉱・開発が必要となるのです。
また、鉱種別にそれぞれの特性に見合った異なったアプローチをとることも必要です。たとえば、タングステンのように、価格低迷によって生産を中止したり、閉山に追い込まれた鉱山が多数存在する場合もあります。こうした種類のレアメタルに関しては、休止中あるいはすでに一度は閉山した鉱山の再開発なども視野に入れるべきでしょう。
レアメタル資源確保とアフリカ
現在、新しい資源争奪戦の場として注目されている1つがアフリカです。アフリカは天然ガスなどのエネルギー資源だけでなく、クロムやニッケルなどのレアメタルなどの金属資源を持っています。近年、こうした資源をターゲットとした海外からの投資の活発化などを背景に、アフリカ全体のGDP(国内総生産)は成長を続けています。アフリカ側も、貧困や飢餓などの問題を解消し、経済成長を成し遂げるために、これに応じている状況です。
すでに中国は経済支援と引き換えに、アフリカでの資源の権益の確保に努めていましたが、ようやく日本もこれに出遅れながらも資源外交を本格化させています。大手商社を中心に、各企業による貿易や投資も拡大しています。
一方で、アフリカ現地での事業展開には、法制度の整備の問題や、人材難、政治的安定に欠くなどの問題も抱えています。資源開発のためには、資源国と友好的な関係を構築することも必要となります。資源戦略として、資源産出国と互恵関係を築くことを含めて、官民一体となった取り組みを展開していくことが求められています。
具体的には、資源国のニーズに応じた技術協力や、インフラ整備、人材育成、教育援助、情報交換などを通じて資源国との関係強化を図ることなどを推進していくことが必要となります。今までは探査開発の対象となってこなかった地域にも事業展開の可能性を見出すことが必要となっています。
レアメタル資源をめぐる国際競争
近年、海外資源メジャー各社は事業の多角的シェア拡大のために、積極的かつ大胆なM&A戦略をとり、競争力の強化につとめています。ますます巨大な力を持つようになっているこうした海外資源メジャーから、さまざまなノウハウを得ることで、自国の資源企業力をアップさせることは、長期的な視野で重要なことです。
また、企業だけでなく、さらに激しくなっていくことが予想されるレアメタル資源をめぐる国際競争の中で、私たちの国も資源の安定供給に向けた国家レベルの資源外交が不可欠です。ODAや貿易保険などの経済協力も含めて、政府関係諸機関が密な連携を持ちながら対策を練っていくことが重要となっています。
たとえば、最近豊富な資源国であるとして注目を集めているモンゴルは、中国とロシアという希少金属の2大産出国の間に位置する立地もさることながら、中国の経済拡大の流れで、資源輸出も急激に増えています。
モンゴルはレアメタルや金、石炭などの多くの天然資源が発見される資源大国です。国土の75%が未開拓であることから、大きな鉱山が発見される可能性も秘めています。
こうした新しい資源国とどう提携していくかが、資源外交のカギとなるでしょう。
レアメタルの海底資源確保
同大学の繊維学部・機能機械学科の森川裕久教授を中心として研究は進められおり、水中で自在に動くことができ、身体能力が高いイルカの動きを解明し、それを水中ロボットの開発につなげているそうです。このロボットを利用して、海底に眠る資源探索を行おうというものです。もしこれが実用化に発展すれば、現在は輸入に大きく既存しているレアメタルの資源確保に向けた明るい材料となることは間違いありません。
中国に大きく依存しているレアメタルの新しい供給源となる可能性が高いと考えられているのが、日本の排他的経済水域(EEZ)と大陸棚延伸可能域内に存在する海底鉱物資源の利用があります。日本のEEZと大陸棚延伸可能域内にはレアメタルを含む海底熱水鉱床、そしてコバルト、銅、白金を含むコバルト・リッチ・クラストなどが多数発見されていて、海底熱水鉱床では世界第一位、コバルト・リッチ・クラストでは世界第二位の資源量があると試算されています。
日本と諸外国の海底鉱物資源開発
実際、日本の近海や太平洋で探査・開発を行っている諸外国もあり、日本もこれに出遅れることなく、自国の資源確保の一つの手段として取り組んでいくことが求められています。また、日本近海だけでなく、将来的には海外の海底鉱物資源の開発も必要となってくることも考えておくべきであり、そのための外交手段のありかた、関係諸外国との関係強化など、検討すべき課題と言えます。
海底鉱物資源開発は、地上の資源開発に比べれば新しい分野です。地上での資源開発においては、日本は諸外国にやや後れを取っていることは間違いありません。海底鉱物資源開発に関してはそうならないよう、先んじて対策を取っていくことが必要となるでしょう。
